2008年台東へ歩む──雲脚台湾(うんきゃく・たいわん)
台湾トゥゴウ(TAIWAN TOGO)
「心を足の裏に置く」
ひたすらに歩き続けることで、
貪り・怒り・迷いを大地に踏み込み、
日々積み重なる肉体の痛みの中で、
心は空へとほどけていく。
すべてが静まり、すべてが簡素に還る――
そんな始まりの場所へ。
2008年、結成20周年を記念して、優人神鼓は三度目の「雲脚(うんきゃく)」環島行脚を実施。 3月23日から5月11日までの50日間で、台湾100の郷鎮、総距離1,200キロを踏みしめて歩きました。
昼は黙々と歩みを進め、 夜には寺院の境内、文化センター、学校、公園などで太鼓を打ち鳴らし、 各地の芸術団体と響き合い、心を交わしました。
その道のりのなかで咲き誇ったのは—— **いのちに満ち、美しく息づく「芸術文化の花」**でした。
2008年4月初旬、優人神鼓は「雲脚台湾」の旅の中で台東に辿り着きました。
それから十数年後、Facebookにはこう綴られています。
「春節を過ぎ、春光の中、清明や児童節の季節。私たちは祈るように歩き、生きる“獅子の咆哮”を大地に響かせました。
夜明けに出発し、昼は歩き、夜は太鼓を打ち鳴らす。
一歩一歩に願いを込め、台湾の“もっとも美しい明日”へ向けて歩んでいたのです。」
台東では成功の八嗡嗡、池上、客家文化園区、大坡池、国立台湾史前文化博物館、卑南文化園区などを巡りました。
「……子どものようなネックレス、それはカエルの目のよう……」成功・三仙国小では子どもたちが“抱っこ太鼓”を奏で、アミ族の童謡を歌ってくれました。
その歌声に包まれながら、山と海、白鷺の舞う田園、静かに働く牛、移ろう空と光と雲——
台東の風景がまるで夢のように広がっていました。
池上では寺院から聞こえる梵唱、果てしない稲田、
一心に耕す農人たちの姿、稲穂の金色が目に染みるようでした。
関山・電光国小ではアミ族の子どもたちが伝統衣装をまとい演奏し、
海端郷・霧鹿国小ではブヌン族の子どもたちが八部合音を歌い上げました。
南王国小の合唱団、美山社区のアミ族舞踊団、大坡池での龍舞・獅子舞——
この大地の豊かな自然と文化の宝が、あらゆる場所で花ひらいていました。
優人は各地の団体と打ち解け、
「あなたが私の太鼓を叩き、私があなたの楽器を奏でる」
太鼓の音に合わせ、みんなが歩き出し、
演奏の前後には輪になって歌い、踊り、笑い合い——
その歓びは、ただ自然に、そこにありました。
台東での4つの公演はそれぞれ場所も内容も異なり、
時に力強い太鼓の響き、時に遠くに響く銅鑼の音。
しかし共通していたのは、
旋回し、跳び、打ち鳴らす優人の美しい身体、
そして自然と一体となった舞台。
そのすべてが、魂を震わせる色と音の饗宴でした。
「赤い太陽が山の向こうに沈み、山の牧童が歌を口ずさむ……その歌声は、青い山々にこだまする……」
演奏のあとの池畔の草地での宴、
菜包粿、五穀包、素食粽、ピーナッツ餅、真珠団子……
沈む夕日、赤く染まる雲、
夜の帳が降りてゆく草原で、
人々はまた歌い、踊りました。
その一日一日が、満ち足りて、かけがえのない日々でした。
雲脚台湾・台東へ歩む
出演|優表演芸術劇団(U-Theatre)
成功・三仙国小「抱っこ太鼓」演奏
美山社区アミ族舞踊団
池上郷・大坡社区アミ族歌舞団
南王国小合唱団
霧鹿国小ブヌン族八部合音
電光国小旮亙(ガグン)楽団
景文高校パフォーミングアーツクラス
日時| 2008年4月3日・4月5日・4月6日・4月7日
会場| 台東・成功三仙台
台東・池上大坡池
台東・卑南文化公園
台東・鹿野高台公園