2024/07
世界佛教聯合會
台灣台北 圓山大飯店
2024年7月太虚大師との出会い ― 人間仏法
世界仏教徒連盟 創立100周年 記念大会
ならびに 太虚大師と人間仏教に関する国際シンポジウム
会場|台湾・台北 圓山大飯店(グランドホテル)
2024年7月13日、100年の時を経て、ついに再び開かれた歴史的な集い──「世界仏教徒連盟 百年ぶりの復会」および「太虚大師と人間仏教に関する国際シンポジウム」が、台北・圓山大飯店にて厳かに開催されました。
縁起(えんぎ)
太虚大師(1890年〜1947年)は、近代中国仏教の歴史において、広くその名を知られる高僧である。彼は、深い仏学の修養を持つと同時に、その時代の新しい思想にも積極的に関心を持ち、自らの修行と学識を社会的な実践へと昇華させた人物である。
当時の中国仏教界は、保守的で混乱し、時に迷信的な風潮にも覆われていた。こうした中で、太虚大師は果敢に声を上げ、実際に行動を起こす仏教改革者として歩みを始めた。彼は多くの仏教界の賢者たちと手を取り合い、「教理」「教制」「教産」の三方面にわたる抜本的な改革――いわゆる三大革命を推進し、中国仏教の近代化に大きな影響を与えた中心的存在となった。
また、彼は後に名を成す僧侶たち──印順導師、東初法師、大勇法師、慈航法師などの入門の師でもあった。太虚大師が提唱した「人生仏教」は、「この世における人間のための仏教」を目指す教えであり、やがて現代における「人間仏教」の礎となった。彼の思想は、仏法を現実の人生の中で活かし、日常の行いを通じて慈悲と智慧を実践する道へと昇華していった。
その功績から、太虚大師は「人間仏教の開祖」として広く尊敬されている。そして今日の台湾仏教においても、彼はまさに精神的な「祖師」として、その教えと影響を今もなお深く残している。
1924年7月13日、中国江西省の廬山にて、太虚大師は「世界仏教徒連盟(WFB)」の第一回大会を発足・開催しました。それは単なる会議ではなく、仏教が国や宗派の壁を越え、世界へと歩み出す意思の宣言でもありました。太虚大師の先見性と志願は、仏教の国際的連帯という新たな地平を拓いたのです。その後、長い年月を経て第二回大会が開催されることはありませんでしたが、この最初の一歩が、理想の種子を後世へと託したことは疑いありません。
そして、百年の時を超えた2024年7月13日──
その静かに眠っていた願いが再び目を覚ましました。
台湾・台北の圓山大飯店にて、「世界仏教徒連盟」の第二回大会が開催されたのです。
それは、太虚大師が百年前に掲げた初心が、今この現代に蘇った瞬間でもありました。
人の一生に、百年という時を迎えられる機会はそう多くありません。
この「百年復会大会」は、単なる記念ではなく、歴史の中から響いてくる呼びかけでした。
それは今を生きる仏弟子たちへの問いかけでもあります──
「弘法利生の道を、誰が担うのか。もし我にあらずば、誰が担うのか。」
百年という時を経て開催されたこの大会には、各地から多くの人々が集い、共通の志のもとに一堂に会しました。太虚大師の精神を偲び、その教えに学ぶだけでなく、その志を今の時代にどう生かしていくかを、参加者一人ひとりが真摯に問い直す機会となったのです。論文の発表や研修、対話の場を通じて、思索が交わされ、願いが響き合いました。仏教の未来のために、世界の平和と調和のために、そして一切衆生の解脱のために──この地上に清らかな浄土を築くという大いなる願いのもとに、皆が心をひとつにして歩み始めたのです。
開会の挨拶
フォーラム
盛大かつ荘厳な開幕式の後、最初の基調講演として侯坤宏(こう・こんこう)教授による
「太虚大師と世界仏教徒連盟(1924)」が発表されました。続いて行われた第一フォーラムは、
「仏法と西洋ポジティブ心理学の対話」をテーマに、鄭振煌(てい・しんこう)教授の司会のもとに進行されました。
このセッションでは、寛謙(かんけん)法師が「仏教心理学における修行の入り口」を発表し、
陳学志(ちん・がくし)教授が「心理学と仏教の交差──ポジティブ心理学、マインドフルネス、ユーモアの実践」について論じました。
また、自拙(じせつ)法師は「仏教的マインドフルネス瞑想とポジティブ心理学の交差点」をテーマに発表しました。
午後にはさらに二つのフォーラムが行われました。第二フォーラムのテーマは「仏法における科学の応用」、
司会は明光(みょうこう)法師が務め、
洪友仕(こう・ゆうし)医師が「植物性食の代謝性疾患への影響」を、
呂應鐘(りょ・おうしょう)教授が「科学の極致は仏学なり」を、
法源(ほうげん)法師が「仏法における現代科学と医学の応用」について、それぞれ深い考察を発表しました。
続く第三フォーラムは「太虚大師思想の再検討」をテーマに、黄運喜(こう・うんき)教授が司会を務めました。
明毓(みょういく)法師は「太虚大師と人間仏教の実践者たち」を、
林建德(りん・けんとく)教授は「太虚大師思想が台湾仏教に与えた影響──印順導師と証厳上人を中心に」を、
妙熙(みょうき)法師は「人間仏教のメディア伝播──『海潮音』から『人間福報』まで」を発表しました。
このように、幅広いテーマと緻密な内容、そして情熱的な発表の数々により、参加者全員が深い学びと法悦に満たされました。
また、知的な交流だけでなく、随所に音楽と舞踊の演出が織り込まれ、
芸術の感性と仏教の理性が美しく融合した一日となりました。
そして何より、太虚大師の偉大なる精神が、まるで時空を超えて会場全体を包み込むかのように感じられ、
参加者の心に深い感動と感謝、そして思索を呼び起こしました。
まさに──百年に一度の、かけがえのない法縁でした。
閉幕スピーチ
結び
大会が幕を閉じようとするその時、「世界仏教徒連盟」総会の召集人である周法護(しゅう・ほうご)居士より、いくつかの重要な発表が行われました。まず、陳樹(ちん・じゅ)居士が「台湾仏教徒連盟」の初代理事長として推挙されたことが報告され、新たな仏教協力の時代の幕開けが告げられました。
また、来年12月には台北にて彌勒文化節および彌勒大会が開催予定であり、さらに次回の「世界仏教徒連盟大会」は2026年2月27日から3月3日まで、タイ国の法身寺にて開催される予定であることが公表されました。「皆さまのご参加を心よりお待ちしております」との温かい呼びかけが添えられました。
さらに、周居士は今後の構想として、太虚大師の思想と人間仏教の実践をより体系的に探究するための「太虚研究院」を設立する計画も明かしました。
「人生仏教、人間仏教の理念を共に推進しよう」と彼は語りかけます。
「物質的にも精神的にも幸福を追い求めると同時に、人類全体の進歩と福祉のためにも貢献できる仏教を目指しましょう。」
この記念すべき大会は、ただ百年ぶりの復会ではなく、
理想と理想が交わる場であり、願いと願いが響き合う、かけがえのない時空となりました。
願わくは、新しい時代の中で、仏教が新たな生命を得て、他の宗教と手を携えながら、地球環境の危機に向き合い、未来を守る智慧となりますように。
願わくは、仏法が永くこの世にとどまり、慈悲と智慧により、より多くの衆生が安らぎと解脱を得て、光と善意と真理の循環が、世の中に絶えず広がっていきますように。