2010/10/29
亞洲波卡・台灣
台北市 國父紀念館大會堂
開催年:2010年会場:台北市 国父記念館 大講堂
序文(じょぶん)
私たちは、芸術と仏法への深い愛から、「芸術は手段に、仏法は本体に」という理念のもと、上師の慈悲なるご承諾を受け、さまざまな形でこの無上なる妙法を世にあらわすことを志しております。
2009年には、台北中山堂にて、智慧と慈悲に満ちたヨンゲ・ミンギュル・リンポチェをお招きし、音楽を法縁とした**「音と空の不二・音楽禅」**を開催、多くの法友が恩恵を受けました。
2010年には、再びリンポチェにご指導を願い、**「色と空の不二・舞踏禅」**を主催いたしました。
この舞を通じて、現れの本質を照らし出し、すべての方が心のソロ(内省の瞑想)を学びはじめ、そして他者と、社会と、世界と、自然と、すべての有情とともに、静かで美しい協奏曲を奏でることができますように。
その完成の時、誰もが「世界でいちばん幸せな人」になることでしょう。
師であるヨンゲ・ミンギュル・リンポチェに、即時通訳をされたケンポ・ダンドルプ氏に、題字をご提供いただいた董陽孜先生に、心より感謝申し上げます。
また、芸術監督の呉素君先生をはじめとする芸術スタッフ一同、
監督:郭蘅祈、振付:張曉雄、照明:曹安徽、美術:黎仕祺、衣裳:鄭惠中、舞台監督:林立群、
音楽:家連亦先、舞踏出演:楊孝萱、張藍勻、呉建緯、楊欣璋、黄志雄、許程崴、許誌恆、鄭郁蓉、呉承恩、黄煜騰の皆様に深謝いたします。
この尊き会が、わたしたちの身と心を真理に安住させ、自己と他者の苦しみの因を速やかに滅してくれますように。
吉祥円満にて
カギュ自生遍在仏学中心 常住
ソナム・アニ 合掌祈願
導師:ヨンゲ・ミンギュル・リンポチェ
ヨンゲ・ミンギュル・リンポチェは、チベット仏教の新世代を代表する、最も著名な瞑想の導師のひとりです。
1976年、ネパールのヌブリ(Nubri)に生まれ、幼少より深い宗教的素質を示しました。
リンポチェは、トゥルク・ウルギェン・リンポチェ、ニョシュル・ケンポ・リンポチェ、サキャ・ティジン・リンポチェ、タイ・シトゥ・リンポチェ、ケンチェン・トゥラング・リンポチェといった偉大な上師たちのもとで、厳密な顕密仏教の訓練を受けました。
1998年より世界中で教えを説き、数千人の修行者や学者に指導を与えています。
また、神経科学者、物理学者、心理学者らとの対話を通じて、伝統的な内観の智慧と現代科学との橋をかけてきました。
彼の著書『世界でいちばん幸せな人(The Joy of Living)』は30以上の言語に翻訳され、世界中で親しまれています。
また、リンポチェはインド・ブッダガヤにある**テルガー学院(Tergar Institute)**の創設者でもあります。そこでは、伝統的な仏教の学びと三年にわたる閉関修行が行われています。
彼はしばしばユーモアを交えながら、自身の修行や困難を率直に語り、その姿勢は多くの弟子たちの心を打ち、仏法への信を深めさせています。
一、狂猿の心(きょうえんのこころ)
私は忙しい——みんなが忙しいから。 私は急いでいる——世界が急いでいるから。 出勤を急ぎ、会議を急ぎ、バスを追い、 お金を、成功を、誰かを超えることを追い求めて……
心が私に言う:「止まるな」と。 私は争いたい、逆らいたい、欲しいものを掴みたい。
時間と競い合い、 誰よりも先へ…… 私の心は駆け、私の心は乱れる。 ——この心をかき乱すのは、誰?
二、恐れと舞う
私は怖い。私は恐れている。
見えてしまうものが怖い——
けれど、見えないもののほうがもっと怖い。
失うことが怖くて、
手に入れることもまた怖い。
ひとりが怖い——
大勢の中も怖い。
孤独が怖く、病も怖い。
次の一秒、あなたがいなくなるのが怖い……
それ以上に、次の一秒、
私がいなくなることが、もっと怖い。
なぜ、恐れはいつもそばにいるの?
それは、消えてくれるのだろうか。
三、遊戯(ゆげ)にして執着なし
人生はまるで舞台のよう。 ——この台本を渡したのは、誰? どうして、私の役はこのような運命に?
執着は、かくも苦しみを生む。 けれど、私は…… 自らの脚本を書き換えることができるのだろうか?
四、鏡の花、水の月(かがみのはな、みずのつき)
鏡の中の私は——本当に「私」なのだろうか? あなたの目に映る私は、私自身と同じなのだろうか?
この目で見ているものは、 本当に「存在している」と言えるのか?
私が見ているこの世界は、 あなたの見ている世界と、同じなのだろうか? 私は……いったい誰なのか?
カギュ自生遍在仏学中心(ぶつがくちゅうしん)
カギュ自生遍在仏学中心は、至尊なる大宝法王をはじめ、尊き導師である蔣貢リンポチェ、カル・リンポチェ、ポカル・リンポチェの利他の精神に依りて運営されております。
衆生の「解脱の大いなる歓喜」を使命とし、多様な法縁の活動を通じて、人々の内なる観照の歩みをそっと後押ししてまいりました。
2009年には「音と空の不二・音楽禅」、
2010年には「色と空の不二・舞踏禅」、
2011年には「ミラレパとの邂逅」。
いずれも、芸術と仏法の融合によって法の光を顕現させ、
慈悲なる上師の衆生済度の願行を映し出すものです。
法の涼風が、あらゆる時にあって、
人々の心の灼熱を和らげますように。
「風は静かに夜に忍び入り、
万物を音もなく潤す。」
——これこそが、自生遍在という名の本質とその存在意義なのです。
カギュ自生遍在仏学中心 常住比丘尼:ソナム・アニ(Ani Sonam)
インド・ダージリンの敬虔な仏教家庭に生まれた**ソナム・アニ(Ani Sonam)**は、布施と慈愛の精神に満ちた家系に育ちました。祖父母と父は「貧者の友の会」を設立し、地域の困窮者に継続的な支援を行っていました。
アニは幼少期より英国式教育を受け、ダージリンの名門英学校を卒業。その後、**『ミラレパ尊者の伝記』**に深い感動を受け、出家・受戒を発願し、一生を仏道と利他の道に捧げる決意を固めました。
1984年、第一世カル・リンポチェの座前にて具足戒を受け、導師の導きのもと、長期の独居閉関修行を幾度も行いました。1987年には師の勧めにより台湾に常住し、弘法と利衆の活動に尽力するよう任命されました。
文化・芸術・人文学への深い関心と造詣をもつ法師は、美のもたらす静かな喜びと安らぎに着目し、仏法と芸術を融合させた多くの活動を展開。大衆の身心にやすらぎと調和をもたらす場を創り出してきました。